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    STEP3 住友電工の社会への成果プロジェクトストーリー

世界の水を美しく蘇らせよ。ポアフロン水処理モジュール事業化プロジェクト

世界の水を美しく蘇らせよ。ポアフロン水処理モジュール事業化プロジェクト

誰もが首をかしげた開発テーマで、製品化に成功。

ポアフロンはその優れた性能を誇りつつも、長く、従来製品市場から抜け出せず、売上も横ばいを続けていた。入社以来、ポアフロンに携わり、その可能性を高く評価していた森田は、従来ポアフロンが評価されてきた高級品市場ではなく、汎用品分野で新製品開発を試みるべきだと考えた。そこで目をつけたのが「水処理」だった。2000年当時、技術雑誌でも水処理に対する注目度が上がっており、これからの市場性を強く感じたのと、耐薬品性というポアフロンの性質が活きる分野だとにらんだのだ。
それから一人で開発を始めた森田は、水処理メーカーの協力のもと、技術的なブレークスルーを経て、2002年の終わり頃に、ポアフロンの性質を十分に活かした高性能の水処理フィルターの製品化に成功した。他素材の従来品と同等以
上の基本性能を持ち、さらに、ある側面においては従来品をはるかに凌ぐ性能を持つこの水処理フィルターは、製品として高いポテンシャルを持っていることはまちがいなかった。しかし、市場はなかなかその門を開いてはくれなかった。
2003年、上司に直談判して営業担当となった森田は、日本全国の水処理メーカーをまわって自らフィルターを売り歩いたが、市場は冷たい反応だった。業界は想像以上に保守的で、「長く使用した実績がないので評価しづらい」と切り替えに消極的だった。性能が際だって良いか、あるいはコストが極端に安いなら切り替えも検討されようが、森田の開発したフィルターはそのいずれでもなかった。

ある出会いがきっかけで得た、韓国でのチャンス。

2004年、森田はその後のフィルタービジネスを大きく進展させるきっかけとなった重要な出会いを果たす。それは、ポアフロンの従来製品の販売代理業交渉を目的に訪れた、ある韓国企業の担当者との出会いだった。森田は、その担当者に従来製品ではなく水処理フィルターを販売してほしいと頼み込んだ。すると、担当者は韓国の水処理関係の研究機関で、ポアフロンの水処理フィルターを「こんな優れた技術がある」と発表してくれた。それがきっかけとなり、韓国で水処理施設を多く手がける有力建設会社を紹介してもらった森田は、この会社が建設中の下水処理施設に設置する水処理フィルターを作ってほしいと依頼を受けた。
国内でいくら営業しても実績がないことを理由に断られてきた森田にとって、これは大きなチャンスだった。ここで成功すれ
ば、実績として今後の営業の足がかりとなる。そう考えて気合い十分で臨んだ実地試験。森田は惨敗を喫する。フィルターの孔が目詰まりを起こして、使い物にならなかったのだ。それでも森田はあきらめなかった。これまでも苦労に苦労を重ねて、やっとここまでたどり着いたのだ。ここでやめるわけにはいかない。素材の配列を改善するなどトライ&エラーを繰り返し、森田は何とか求められる性能へと近づけていった。

入社以来、夢見ていたポアフロンの新市場を開拓。

そして2005年。建設会社は、住友電工の水処理フィルターを用いた下水処理システムを採用すると発表。国の認可も受け、森田は韓国の下水処理における有名プロジェクトを受注することができた。さらに、この実績を皮切りに、2006年、2007年と3つのプロジェクトを立て続けに受注した。
とはいえ、どれも単発の受注なので、安定した注文を確保できるわけではなかった。困ったのは工場だ。年間通して安定した生産量がなければ、生産効率は悪く、人の確保も難しくなる。そこで森田は、新しい市場を国内ではなく、さらに海外の他国に求めた。国内よりも海外の方が市場が大きく、また、新しい素材に対する理解の幅が広いと踏んだのだ。
すでに幅広い分野でさまざまな製品をグローバル展開している住友電工ブランドの力も効いた。「住友電工が新たに、
世界で誰も使っていない新素材を始めた」ということで注目され始めた。その追い風に乗って、森田は台湾、そして中国へとマーケットを広げていった。専門の営業組織も作り、晴れて2009年下期からは安定した注文が得られるようになった。今はさらに、インド、アメリカ、ヨーロッパへと市場開拓を進めている。
ポアフロンのポテンシャルを信じ、開発~生産技術~営業~製造とすべてを自ら手がけ、ゼロから出発して、ついに一つの製品を世の中に出した森田。
ここにたどり着くまでに、周囲から何度「もうやめた方がいい」と言われたことか。それでも森田は「このプロジェクトが成功しなければ、会社を去る」という覚悟で臨んだ。何があろうとも、自分の信じる道を進む、その強さがポアフロンの新市場開拓を生んだのだ。

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