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プレスリリース

米国カリフォルニア州で大規模蓄電システム レドックスフロー電池の実証運転開始

製品・技術情報

2017年3月17日
住友電気工業株式会社

当社は、米国カリフォルニア州政府および米国大手電力会社であるSan Diego Gas and Electric社(以下、SDG&E社)と協力し、同州サンディエゴにおいて米国最大規模となるレドックスフロー電池を用いた蓄電システムの運転実証を3月16日から開始し、運転開始式を開催しました。本件は、当社が新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)より実証委託を受け、実施するものです。

本実証では、変電所内に系統用蓄電池としてレドックスフロー電池(2MWx4時間)を設置し、周波数調整、電圧調整、余剰電力対応などの多用途運転を行い、レドックスフロー電池の経済的価値を向上させる配電・送電併用の運転実証を実施します。

実証を開始したレドックスフロー電池

実証を開始したレドックスフロー電池

1.背景

米国カリフォルニア州は、大規模な水力発電を含めない再生可能エネルギーの割合を2020年までに33%、2030年までに50%とする、全米でもハワイ州に次ぐ高い目標を掲げています。しかし一方で、太陽光発電の増加による朝夕の急激な需要変動が観測される需要曲線(ダックカーブ)や電力品質低下の問題が顕在化しつつあります。そこで、州法AB2514*1において電力貯蔵装置の導入義務を電力会社に課すとともに、州内の各公益機関は協力して蓄電池ロードマップ(Energy Storage Roadmap)を策定し、蓄電池が適正な収入を得られるような制度設計を行っています。このような背景のもと、NEDOは2015年9月にカリフォルニア州の経済促進知事室(GO-Biz)とMOUを締結し、当社を委託先として、同州サンディエゴで蓄電池の普及展開に向けた送電・配電併用運転による経済価値向上の検討を進めてきました。

今般、NEDOと当社は、カリフォルニア州政府および現地の電力会社の協力のもと、同州のサンディエゴにおいて米国最大規模となるレドックスフロー電池の運転実証を3月16日から開始しました。

2.概要

本実証では、系統用蓄電池として長寿命、高い安全性を有し、高速応答性が必要な用途(短周期)と長時間容量が必要な用途(長周期)のいずれにも適しているレドックスフロー電池を用い、SDG&E社の協力を得て、変電所内に同蓄電池を設置し実証を行います。具体的には、配電網において周波数調整、電圧調整、余剰電力対応などの複合的(多用途対応)運転を行い、変電所内に設置したレドックスフロー電池の信頼性・経済性について評価した後、系統運用機関からの指令を受けて送電網でのアンシラリーサービス*2等への貢献について技術実証を行い、レドックスフロー電池の経済価値を向上させる配電・送電併用の運用実証を行います。

この実証事業を通じて、再生可能エネルギー増加による周波数・電圧変動、余剰電力などの課題解決とともに、蓄電池の費用対効果の向上を目指します。

蓄電池の送電・配電併用運転実証事業のイメージ図

レドックスフロー電池の基本原理

3. 運転開始式

本実証設備の運転開始にあたり、3月16日(現地時間)に、SDG&E社のSan Miguel変電所において運転開始式を行いました。式典には、NEDO渡邉誠理事、当社の伊藤順司常務取締役、SDG&E社のCaroline A. Winn, Chief Operating Officer、日本国ロサンゼルス総領事館千葉明総領事、両国政府関係者およびその他関係者らが参加しました。

運転開始式の様子

運転開始式の様子


*1 州法AB2514:
カリフォルニア州でエネルギー貯蔵システムの導入目標を課す州法。

*2 アンシラリーサービス:
周波数や電圧の制御及び、緊急時の予備力確保といった電力サービス。

以上

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