ホーム > 企業情報 > SEI WORLD > 2016年04月号(Vol.463) > トップメッセージ

トップメッセージ 2016年04月号(Vol.463)

社長 松本正義

次の一手

囲碁で、人工知能が世界トップレベルの強豪棋士を破ったというニュースが大きな話題になりました。囲碁の場合、先の先まで手を読もうとすると選択肢が天文学的な数にのぼるため、高い演算能力を持つ現代のコンピュータでも、人間にはまだまだ太刀打ちできないだろうと言われていました。

残念ながら私には、囲碁についても人工知能についてもコメントできる知見はありませんが、今回の戦いを受けて立った棋士には大いに敬意を表したいと思います。未知の相手との勝負はいつも難しいものですし、世界が注目する対局で敗北すれば、トッププロとしての自信もプライドも粉々に砕かれるかもしれませんでした。

初戦での人工知能の勝利は驚きをもって受け止められましたが、3連勝するに至って、私たちは人工知能の想像以上の実力を知り、多くの人が「このまま第5局まで押し切られるだろう」と感じていたと思います。それだけに、第4局で棋士が一矢報いたのは驚きでした。失ったはずの自信を取り戻す心の強さがあったのか、それとも開き直ったのか。「人間の可能性を示す勝利だ」との称賛も大げさには聞こえません。

彼は敗れた後にはこう言ったそうです。「いままで最善だと思っていた定石が、実はそうではないのかもしれない」――― 当たり前のことに疑問を持つことによって、より良い方法を探り当ることができれば、新しいステージに上がれるかもしれません。彼も、チャレンジした者だけに与えられる何かを得たはずです。

社長 松本 正義


ページの先頭へ