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第4回 ステークホルダー・ダイアログ

第4回 住友電工グループ ステークホルダー・ダイアログ

住友電工グループは、5つのCSR重点テーマを設定しています。第4回となる今回のステークホルダー・ダイアログでは、そのうち「ダイバーシティ推進」「地球温暖化防止」「CSR調達推進」の3つのテーマについて、卓越した知見をお持ちの有識者と当社の担当部長が意見交換を行いました。

意見交換の様子

開催概要

開催日:
2014年6月4日(水)

場 所:
住友電気工業(株) 大阪製作所

上妻 義直 様 足達 英一郎 様
上妻 義直 様 足達 英一郎 様
ご参加いただいたメンバー(50音順):
足達 英一郎 様(株式会社日本総合研究所理事)

専門分野は社会的責任投資(SRI)、企業の社会的責任(CSR)。
環境省や内閣府等数々のプロジェクトに参画。
主に企業の社会的責任の観点からの産業調査、企業評価を手がける。

上妻 義直 様(上智大学経済学部教授)

専門研究分野は環境会計論および国際会計論。環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省、内閣府、日本公認会計士協会等のCSR・環境関係の検討会・研究会等で座長・委員等を歴任。


ファシリテーター:
福島 隆史 様(株式会社サステナビリティ会計事務所 代表取締役)

住友電工出席者:
中田 将稔(人事総務部 人事部長)
大岡 伸哉(安全環境部長)
前川 聡(資材部長)
春日 昌仁(人事総務部 CSR推進室長)

スケジュール

工場見学→CSR重点分野見直しの経緯に関するご説明
工場見学
工場見学
工場見学

意見交換

テーマ:新たなCSR重点テーマの取り組みについて

重点テーマの設定について

春日:

2013年5月に策定した新中期経営計画17VISIONをふまえて、事業活動とより融合したCSR活動を目指し、CSRの重点5分野を見直しました。新重点5分野とは「製品・サービス」「人材」「サプライチェーン」「環境保全」「社会貢献」で、本業による貢献を明示するために「製品・サービス」を取り組み分野の一つとして設定しました。各分野にそれぞれ重点テーマを設定しています。「人材」についてはダイバーシティ推進、「サプライチェーン」についてはCSR調達推進、「環境保全」については地球温暖化防止が重点テーマとなっています。

春日

ダイバーシティ推進について

中田:

2011年に全世界共通のグローバルHRMポリシーを定めました。ビジネスはグローバルに進んでいながら、海外における人材の幹部登用はまだまだという課題があったので、2014年の4月にグローバル幹部人材制度をつくりました。そして、GL(グローバル・リーダー)というグレードを設け、上場会社の子会社を除く海外子会社役員もしくは同相当の24名を任命しました。また女性の登用に関してですが、これは日本の方が海外より遅れています。国内の総合職採用では、優秀な女性の採用に力を入れて取り組んでいます。

中田

足達:

女性の活用に関しては、動機がはっきりしている企業と「よそもやっているから、うちもやらなければいけないのでは」という、世の中の風潮を気にしている企業とに分かれると思います。なぜ女性が増えなければいけないのかという命題に対しての回答は、どんなビジネスをしているかによっても異なってくると思います。

足達

上妻:

ダイバーシティ推進の根幹にある課題は非常に複雑です。女性の活用を妨げる要因は企業にだけではなく、世の中の様々なシステムの中から派生しているものも多いと思います。御社のように海外の事業所が多い企業だと、グループ全体で見たときに勤務条件が同一ではないところもたくさんあるのでは?女性やマイノリティをめぐる事情は国ごとに全く違うと思いますが、それをグローバルでやるということでしょうか。


中田:

今回、グローバルに男女人数を調査し統計を取り、会社はもちろん国境や文化を越えて情報を共有していくことに努めました。当社グループではダイバーシティ推進のためにも人材登用制度を充実させていきます。


上妻:

EUでは多様性の根本になるのは役員層だと言われます。日本では役員の多様性はかなり遅れています。それを推進するのは会社全体の多様性を促進するうえで重要なことです。海外の現地法人ではいかがですか。

上妻

中田:

外のローカル役員の登用は、もっと進めていかなければなりません。グローバルポリシーの中に“人種や性別にかかわりなく活躍できる会社を目指す”ことを、大きな項目として表明しています。それが当社グループの人事における揺るぎないポリシーだと広く強く伝えていきたいと思います。

中田

地球温暖化防止について

大岡:

地球温暖化防止については、2017年度にCO₂排出量を2012年度比5%削減の目標を掲げています。高いハードルではありますが、これを達成するための活動計画として、省エネルギー目標を5年で売上高原単位20%低減と設定しています。今までは省エネ機器を使うなど、設備的な要素の省エネが多かったのですが、今後は品質不良、設備故障など生産性も全て省エネに関わることとして様々な部門と認識を共有しながら活動したいと思っています。

大岡

足達:

2012年度の約2兆2000億円の売上を2017年度に3兆円にするとなると1.4倍です。それに対して総量を5%削減することは難題のように思います。財務面の見通しと、非財務面の見通しの整合性が気になりますが。


大岡:

事業部門に対してエネルギーロスの気づきを促すためには、これぐらい高い目標を掲げないと難しいのです。モノづくりの弱いところで幾ら帳尻を合わせても仕方がありません。そのことに気づいてもらい、徹底的に省エネに取り組んでもらうということです。

大岡

足達:

現状の売上高当たりのエネルギー原単位は、事業分野別で相当違うわけですね。海外においても工場によりレベルの違いがあると思います。事業分野の変更や海外生産拠点でエネルギー効率の低いところを日本のマザー工場のレベルまで改善するというシナリオもあると説得力がありますね。


上妻:

関連のサプライヤーについても、同じようなペースで進めていくことができればいいですね。もう一つは、今ある環境配慮製品をもっとたくさん販売して、削減貢献をされた方がもっと効率的に温暖化防止に貢献できるのではないでしょうか。

上妻

大岡:

お客さまの省エネや廃棄物削減、生産性の向上につながる環境配慮製品ですね。当社の製品は部品が多いので、そういった環境配慮製品の売上高比率の向上に努めています。ただCO₂削減にどのくらい貢献したかは、まだ一部の製品でしか算出できていません。


上妻:

大まかでいいので、売上目標と削減効果の目標を持っていただければ。基礎技術をたくさん持っていらっしゃる御社の工場は夢の塊のような気がします。


大岡:

ありがとうございます。事業部によってはまだ意識に温度差があります。弱いところに注力して効果を出していきたいと思います。


CSR調達推進について

前川:

CSR調達ガイドライン遵守のお願いを各取引先さまにしています。ただ実際どれだけ実施していただいているかというのを一度測定しなければいけないと考え、2013年度はモニタリングを実施しました。今回は資材部所管の主要122社に対してアンケート調査を行いましたが、2014年度は、毎月継続的に取引している900社程度に対象を拡大する予定です。

前川

上妻:

何のためにモニタリングをして、何のためにサプライチェーンマネジメントをしているのかということを考え、結果をご覧になって精度を高めていっていただけたらと思います。アンケートを継続し、現状のサプライチェーンマネジメントの中にフィードバックして、常にチェックしていくことが重要ではないでしょうか。


足達:

多角化が進み、またB to Bでもあるので、住友電工グループのサプライチェーンは外からよく見えにくい。調達においてもまず何を買っているかということを明らかにして、その川上でどんな問題があるかということとセットで、取り組みの紹介をしていただけたらと思います。

足達

前川:

資材部として、きちんと横串を刺して、そういった情報をデータベース化できたらいいのですが、今のところは、各事業部門や事業会社ごとの取り組みを進める中で、特定テーマでは同じ方向を目指せるよう支援するという活動になっています。最終的には各部門共通の基礎データを集めて、資材部で分析し、全体報告やフィードバックができたらよいと考えます。

前川

CSR取り組み全体について

上妻:

それぞれの部署で固有の業務があるうえに、部署横断的な業務がすごく増えてきていることが分かりました。それを一体どのようにマネジメントしていくのか。どこがコントロールして、どうやって連携していくのかが課題ですね。


足達:

そういったCSRガバナンスは、現在、日本企業共通の課題のように思います。


春日:

年に2回のCSR委員会は人事総務担当役員がトップとなって開催しており、各事業部門の方々も前回開催から参加しています。事業部門が入ると、その傘下の国内外全組織が入ることになります。これからどうやってグループ全体を、社員全体を巻き込んでいくかが今後の課題になると思います。


賀須井 良有 CSR委員会委員長 常務取締役
賀須井 良有
CSR委員会委員長
常務取締役
ステークホルダー・ダイアログを終えて

17VISIONをふまえて昨年策定したCSR重点テーマのうち3分野について、有識者のお二人にご助言をいただけたことは大変有意義でした。各テーマの課題へのご助言をCSR活動に活かすとともに、今後グローバルに事業活動が進むにつれますます増加する当社グループ横断的業務に対しどう取り組んでいくべきかという、グループ全体のCSRガバナンスのあり方についても、各テーマ共通の課題として検討を進めてまいります。

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