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プレスリリース 2009年

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近赤外光による組成イメージングシステムを開発

~物質の組成分布、濃度分布をリアルタイムに2次元画像化~

2009年6月8日
住友電気工業株式会社

 住友電気工業株式会社は、近赤外光(NIR)(*1)を用いて、生体や食品材料などの組成の違いや組成の濃度分布を、非接触・非破壊でリアルタイムに2次元画像化する組成イメージングシステムを開発しました。

 現在、医療や食品などの分野において、非破壊で生体や食品材料などの組成分布をリアルタイムに計測可能な検査システムへのニーズが高まっています。
 組成分析手法としては、赤外分光法(FT-IR)(*2)など赤外光(IR)によるスペクトル分析が一般的ですが、非破壊での測定が難しいという課題があり、NIRによる組成分析が注目されています。NIR帯域には、水、脂質、タンパク質などの有機物の吸光スペクトルがあるため、生体や食品の組成分析が可能です。更に、NIRは生体や有機物を透過しやすいため、非破壊で組成検査することが可能となります。

 

 当社は、これまで光通信事業において培ってきた高度な光関連技術(材料、デバイス)を応用し、光通信と同じ波長帯域であるNIRを用いて組成分布をリアルタイムに2次元画像化する組成イメージングシステムの開発に成功しました。

 今後、医療診断への適用、食品・製薬などの工場生産ラインにおける検査システムとしての実用化を目指します。

 

 今回、当社が開発した組成イメージングシステムの特徴は以下の通りです。

1

組成分布を高感度に2次元画像化

 当社は、WDM(*3)通信デバイス用材料技術を応用し、広帯域・高感度のNIRカメラ用センサを開発しました。これにより、組成分布を高感度に2次元画像化することが可能となりました。
 従来のNIRカメラ用センサ材料としてはInGaAs(*4)、HgCdTe(*5)などがありますが、感度を持つ波長帯域が狭いことや超低温動作が必要などの問題がありました。当社は量子井戸構造(*6)から成る材料を新たに開発し、1~2.5μmの幅広い波長領域で高感度の測定を可能としました。
 

2

熱影響が無い測定を実現

 組成イメージングに必要な、広帯域・高強度かつ測定物に熱影響を与えない光源を実現するため、当社独自のSC光源(*7)を開発しました。SC光源は、フェムト秒パルス発振(*8)のため、ハロゲンランプなどの既存光源で問題となる測定対象物への熱影響を解決すると同時に、十分な光強度と広帯域特性を有する光源です。
 

3

リアルタイム画像化が可能

 当社は、大学などと共同で高速スペクトル解析アルゴリズムを開発しました。これによりNIRカメラで収集したすべての画素のデータにおいて、リアルタイムでNIRスペクトル解析による組成判定を行い、組成分布を画像化することが可能になりました。

 当社は、今後も当社独自の情報通信技術を活用し、ライフサイエンス分野への展開を図ってまいります。

以上

【用語説明】

 

※1 近赤外光(NIR)
波長0.72~2.5μmの光。赤外光(波長0.72μm~1000μm)は、波長が短いほうから順番に近赤外光、中赤外光、遠赤外光に分類される。

 

※2 赤外分光法(FT-IR)
赤外光を照射し、透過光あるいは反射光を分光することでスペクトルを得て対象物の特性を知る方法。水の吸光率が高く、水分を含んだ試料の測定が難しい(他の吸収スペクトルが隠れてしまう)。また、水分以外でも吸光度が高すぎる成分を含む場合が多く、適切な結果を得るために測定サンプルに加工を施す必要(スライスする、液体であれば希釈するなど)があり、非破壊での測定が困難。さらに、特殊な検出器を必要とし、通常は一点計測となるため、画像化する場合はスキャンが必要(リアルタイムでの測定が困難)。

 

※3 WDM
波長分割多重。光ファイバ通信で、異なる波長の光を用いて同時に複数のチャネルで伝送する通信方式。

 

※4 InGaAs
インジウム・ガリウム・ヒ素。赤外線検出素子材料の一種で、主に光通信用フォトダイオードに用いられる。

 

※5 HgCdTe
水銀・カドミウム・テルル。赤外線検出素子材料の一種で、遠赤外線の検出用材料として用いられることが多い。

 

※6 量子井戸構造
ナノメーターオーダーの厚さを持つ異なる種類の半導体が交互に積層した構造の総称。1ナノメーターは10億分の1メーター。

 

※7 SC光源
Super Continuum光源の略。光ファイバの非線形光学効果を利用してレーザ光の波長帯域を大幅に広げて出力する。

 

※8 フェムト秒パルス発振
1000兆分の1秒オーダーの周期で光強度をON/OFFさせ出力する。

 

組成イメージング例
システム構成図
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