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住友は「人」を求めている
自分を精進して磨き、立派な人格を醸成すること。住友が望んだのは単なる知恵や才能ではなく、人格形成でした。人格のない者が商売をすることほど危ないことはない。それが住友の人材に対する考え方です。
初代総理事の広瀬宰平は「逆命利君、謂之忠」(命に逆らっても君を利す、之を忠と謂う)を座右の銘とし、明治維新の際、住友本店より別子銅山を売却する命令を受けましたが、当時支配人だった広瀬はその命令に逆らって別子銅山を守り抜きました。つまり、座右の銘に従い、会社の益となる大事なことは現場から信念を持って主張することを貫いたのです。
住友では、労使協調の経営が特徴的で、人を大切にする社風がありますが、その根本には常に人格の向上が求められています。
人格形成と能力発揮の人事
「幼年から勤めている者は重責の役職に任ずる。しかし不器量だと任せられないので、各々油断なく心掛けること。中途採用の者でも優れていれば生え抜きの手代と同様に引き立てる」(別子銅山惣手代心得:意訳)
別子銅山の経営理念で、人として包容力に富んだ者しか管理職にしない、ということを述べています。不器量とは人間性の未熟さを指し、仕事上の能力が高いことも必要だが、そのベースに人格の醸成ができていなければならない。経験も大切であるが、それと同時に人として優れていることが、重責の役職者には求められる。こうした考えのもと、住友の事業精神を理解した人材が育ってきました。
自由闊達な上申
「住友家は先輩・後輩、生え抜き・中途採用の区別なく、有益な事であれば些細なことでも上申すべき。たとえ意見を採用しなかったとしても、その忠志は心に感じて喜ぶので、遠慮なく上申すること」(9代当主・住友友聞の「定」:意訳)
「現場から声を上げろ」という方針です。住友家法にも同じことが述べられており、昔から住友では重要視してきました。さらに、現場を尊重する観点から、江戸中期、別子銅山へ目安箱を送って意見を集めた記録があります。「本店で些細なことも知りたいから、何でも思いついたことを書け。上司には決して漏らさず、本店の責任者のみが読むから」。現場で働く人を大切に考え、それを事業の中核とする、それが住友のこころです。
【監修】住友史料館 副館長 末岡 照啓さん
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