自由闊達な議論
「住友家の先祖が取り立てた商売の仕方は、毎日主従争論をもって銅や諸品の相場を考え、日々の利益を判断するしきたりである。これこそ先前より我家の流儀である」(江戸中期、手代から当主への意見書:意訳)
住友家では江戸時代から、身分・立場の区別なく議論を重ねてきました。もともと事業は経営者と社員が一体となって行うという意識があって、現場の考えを反映した運営を進めていきました。さらに言えば「住友の事業」は会社の持ち物ではなく、社会のためという規範です。そうして別子銅山から枝分かれして事業拡大をした住友グループは、現代でも理念を共有することで心の繋がりを形成しているという特長があります。
人材重視
「経営への時間が減るのは一時の損に過ぎない。しかし一人の人材を取り逃がすための損失は永久であり、測り知れないものがある」(三代目総理事・鈴木馬左也の言葉)
人材を育てることは将来への投資という考えで新入社員の採用にあまりに時間をかけすぎる鈴木へ、経営がおろそかになると部下が進言したことに対しての答えがこれです。住友本店の総理事は特に人材の確保に心を砕きました。
目先の利益を追うのではなく、その事業を担う人材をしっかりと育てることを第一にしてきたことが、住友の経営のあり方です。それは、住友の事業精神を体得した人材を育てることを意味しています。
新しい事業の創出
住友は、社員が互いに考えを出し合い創意工夫しながら果敢に新しいことへ取り組む雰囲気のなかで、一つひとつ事業を積み上げ、別子銅山を根幹として枝分かれしながら、現在の住友グループ各社を生み出してきました。文殊院(住友家初代・住友政友)の思想から始まる住友の理念に基づき、自由闊達な議論と住友の事業精神を理解して人格を磨いた人材が事業を作りました。このことはまさに「事業は人なり」たるゆえんです。
【監修】住友史料館 副館長 末岡 照啓さん
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