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広報誌 SEI WORLD 2010年

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SEI WORLD 2010年 01月号(vol. 388)

21世紀ビジネスの源泉~其の一~「信頼のブランド力」

  住友400年の歴史のなかで、現代のビジネスにも通じる企業風土は、創業当時に築かれたものが数多くあります。これら「21世紀ビジネスの源泉」を、現在の住友電工の動きと照らし合わせながら、1月号から3月号で、それぞれ異なる3つの視点でご紹介します。

  現代のビジネスシーンでは、企業の象徴であるブランドマークが大きな意味を持っています。住友はこのブランドマークである「井桁」を江戸時代に確立。住友井桁が示すブランド力は、江戸の社会で確かな信用を獲得していました。そして現代と同様、そのブランド力は、経済の分野だけでなく、文化のフィールドにまで広く浸透していました。

ブランドマーク井桁の誕生

商標登録願(写真提供:住友史料館)

  住友の商標である「菱井桁」。江戸時代から住友のマークとして使われていました。これを商標としたのは、住友の屋号が「泉屋」、すなわち「泉」だったことに由来します。中国ではお金のことを「泉貨」や「貸泉」と呼び、湧きたつ泉は、富の象徴であり、それを表す井桁印は大変縁起の良いマークだったのです。

  1884(明治17)年になると商標条例が公布され、商標が法律で認められるようになりました。これを機に住友は「住友」の名と「菱井桁」を一体化したものを商標登録。1913(大正2)年には、現在の「菱井桁」の寸法割合となりました。遠くから見てもすぐに分かる住友井桁、住友ブランドの象徴です。

井原西鶴の著書にも住友が登場

清水家門鑑(写真提供:住友史料館)

  現在、企業のブランド力がビジネスの要であるように、江戸時代も「ブランド」が商いを支えていました。公金を預かる仕事をしていた住友は、今でいう県庁の機能を果たす大名屋敷に出入りしていました。屋敷に入るには鑑札があり、住友は通行手形として「菱井桁」を使用。その社会的信頼は確固としたものだったのです。

  こうした住友のブランド力は、当時のメディアにも紹介されています。江戸の経済と町人の暮らしをつぶさに描いた井原西鶴の著書『日本永代蔵』です。1688年(元禄元年)に出版されたこの本のなかで、住友は他の2つの豪商と並んで「面白いベンチャー企業だ」と紹介されています。ベンチャーとは、それまで誰もやらなかったビジネスに取り組んでいる企業のこと。南蛮吹きの技術で銅の精錬法を確立し、そのブランド力でエンジニアを集め、日本各地で鉱山開発を進めていた住友は、希代の文化人・井原西鶴にも注目されていたのです。

住友井桁が象徴する400年の信頼の重み

  21世紀の現在、ビジネスの動向が音楽や演劇などのカルチャーシーンに影響を与えていますが、江戸時代も同様、成長を続ける住友が芝居や上方落語に登場しています。例えば、大坂の半四郎芝居に『予州銀ばこ白鼠』『別子長者三番つづき』など、住友が別子銅山で栄えたことを題材にした演目が現れました。上方落語では、『次の御用日』や『佐々木裁き』といった演目に住友の店の様子が出てきます。「菱井桁」が象徴する住友のブランド力が、広く江戸の社会に浸透していたことがうかがい知れます。

  以来いくつもの世紀を超え、住友電工では現在、自社の製品を出荷する際には、住友井桁の印を製品に押しています。400年続くブランドへの信頼をお客様にお約束すると同時に、ブランドが持つ重さと責任を自らの心に刻み続けています。

【監修】住友史料館 副館長 末岡 照啓さん

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