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広報誌 SEI WORLD 2010年

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SEI WORLD 2010年 06月号(vol. 393)

リーダーたちの肖像~其の三~「国家百年の事業を成した三代目総理事/鈴木馬左也」

  住友には、幕末から明治、大正にかけて事業の基盤を固めた3人の総理事がいます。経営のトップリーダーとして力を尽くしたこの3人の人物伝を、4月号から6月号でご紹介します。

  激動の明治後期から大正時代の約20年に亘り、住友を牽引した経営トップが三代目総理事・鈴木馬左也です。初代総理事の広瀬と二代目の伊庭、二人の志を引き継ぎ、住友を成長させたトップリーダーです。

住友の事業精神に共感し36歳で入社

鈴木 馬左也(1861~1922)(写真提供:住友史料館)

  明治維新が起こる7年前の文久元年(1861)、鈴木馬左也は現在の宮崎県高鍋市で生を受けました。勤皇の志士であった長兄は薩摩藩士をかくまった罪により獄中で亡くなり、父は西南戦争で西郷軍に幽閉され病没。国家のために命を落とす家族を目の当たりにして幼少期を過ごしました。苦学して東京大学を卒業し内務省に入った鈴木。愛媛県書記官として転任後、住友を知ります。総理事・伊庭は、強い意志と広い視野を持つ鈴木の姿に、住友の将来を託す人物像を重ね合わせました。そして住友家の懇請を受けた鈴木は、明治29(1896)年入社を決心します。36歳の時でした。

国家に役立つ事業を次々と実現

  産業が栄えなければ、国は豊かにならない。鈴木は国家に役立つ事業を興そうと、現在の住友グループ各社につながるいくつもの事業を立ち上げました。そのひとつが明治44(1911)年に設立した住友電線製造所、現在の住友電工です。そのほか電源開発や化学工業の先鞭をつけるなど、次々と国家を支える事業を興した鈴木。44歳で住友総理事に就任した際に、こう固い決意を語っています。「自分は正義公道を踏んで、皆と国家百年の仕事をなす考えである」と。そして伊庭の意志を継ぎ、別子の山に自然を取り戻すべく植林を続け、それを全国にまで広げました。

人材の採用と育成に心血を注いだリーダー

  もうひとつの鈴木の功績は、大正10(1921)年、個人商店であった住友総本店を、資本金1億5000万円の住友合資会社に改組しました。住友合資会社では、経営者(総理事や理事)が、オーナーと共に労務出資という形で出資者になりました。

  また鈴木は「事業は人なり」を実践したリーダーでもあります。人材採用には時間をかけ心を砕きました。新入社員のための独身寮を作り、人材育成にも力を注ぎました。そんな鈴木に惹かれて、明治末から大正にかけては、後に産業界や教育界で活躍する優れた人材が住友に集まりました。

  広瀬から伊庭、そして鈴木へ。確固たる信念を持って住友を牽引したトップリーダーたち。3人が体現した住友の「自利利他、公私一如」の事業精神は、今も脈々と息づいています。

 

【監修】住友史料館 副館長 末岡 照啓さん

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