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広報誌 SEI WORLD 2011年

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SEI WORLD 2011年 03月号(vol. 402)

冷凍機冷却型超電導マグネットシステム

永久磁石の磁化特性の測定時間の短縮・精度向上

冷凍機冷却型超電導マグネットシステム

  液体ヘリウムや液体窒素などの冷媒を使わずに冷凍機で運転可能な「冷凍機冷却型超電導マグネットシステム」は、永久磁石の製造工程の中の磁化特性測定等への適用を視野に入れて開発したシステムです。

  NbTi等の金属系超電導線材を用いた冷凍機冷却型超電導マグネットシステムの磁場強度の変動速度は、1テスラ(※1)/1分程度でしたが、ビスマス系高温超電導線DI-BSCCOを用いた今回開発したシステムでは、1テスラ換算では、約6秒と、金属系超電導線材を用いたマグネットシステムと比べて、約10倍の高速化を実現しました。

  今後当社は、永久磁石の主要製造工程である磁場中成形(※2)への本システムの適用、磁性体材料を用いたハードディスク・発電機等の製造・検査工程への適用、薄膜形成プロセスへの応用の可能性なども検討していきます。

※1テスラ:
磁石の強さを表す単位。1テスラ=10,000ガウス

※2磁場中成形:
永久磁石の材料粉末を外部磁場方向にそろえる成形法。

 
■冷凍機冷却型超電導マグネットシステムの性能
中心磁場 5T
室温ボア φ100㎜
インダクタンス 4.3H
磁場強度変動パターン 0T→+5T→-5T→0T/120秒+インターバル60秒
応用例 B-Hカーブトレーサー(※3)、VSM(※4

※3B-Hカーブトレーサー:
磁性材料が外部磁場の中に置かれた時の磁化(磁束密度)の強さ、保磁力等を測定する装置。永久磁石の検査工程で用いられる。

※4VSM:
試料振動型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer)。均一磁場中においた試料を一定の周波数・振幅で振動させ、試料近辺に配置した検出コイルに誘起される起電力をロックインアンプを用いて検出することにより、試料の磁化特性を測定する装置。

 
■冷凍機冷却型超電導マグネットシステムの磁場強度変動パターン

冷凍機冷却型超電導マグネットシステムの磁場強度変動パターン

 

臨界電流値200Aの高温超電導線の量産試作を開始

ビスマス系高温超電導線「DI-BSCCO」

  当社は、2006年1月に、臨界電流値(※5)200Aという世界最高性能のビスマス系高温超電導線「DI-BSCCO」(※6)を開発し、量産技術の確立等に取り組んできましたが、今般、量産の目処を得たため、200Aの高温超電導線の量産試作を開始しました。今春を目標に、本製品の量産体制を整備していきます。

  DI-BSCCOの臨界電流値は、短尺で250Aという世界最高性能も確認しており、数十m長でも230Aの線材が得られています。また、価格性能比の向上にも注力しており、現時点で、2004年の量産化開始時と比べて約3倍の価格性能比の向上を実現しています。

  これにより、超電導ケーブルのみならず、コンパクトな超電導応用機器の設計も可能となります。世界の高温超電導機器の本格実用化に向けて、更なる高温超電導線の高性能化・量産化を進めていきます。

※5臨界電流値:
超電導状態で流すことができる最大の電流値で、超電導線の最重要性能。

※6DI-BSCCO:
Dynamically Innovative BSCCO革新的ビスマス系高温超電導線。BSCCOは構成する元素(Bi2Sr2Ca2Cu3O10)の頭文字。

・「DI-BSCCO」は、住友電気工業(株)の登録商標です。

 

超電導・エネルギー技術開発部

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