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広報誌 SEI WORLD 2011年

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SEI WORLD 2011年 06月号(vol. 405)

いまさら超電導?いまから超電導?

超電導ケーブル

酸化物系超電導(高温超電導)は、約20年前に一度フィーバーがあったことをご存知ですか?数年間新聞を賑わした後、その製造の難しさから、撤退する企業が相次ぎました。しかし、ここにきてようやく「使える」「経済的な」酸化物系超電導線材が入手可能となってきました。今年は超電導現象発見100周年。100周年を記念して、今月号では、再び注目を集めている超電導を特集します。

超電導現象発見から100年の歴史

1911年

カマリン・オンネス氏(ライデン大学・オランダ)による超電導現象の発見

1957年

ジョン・バーディーン氏、レオン・クーパー氏、ジョン・ロバート・シュリーファー氏らのBCS理論により、超電導現象の基本的なメカニズムが解明

1963年

住友電工、超電導の研究を開始

1986年

ヨハネス・ゲオルク・ベドノルツ氏、カール・アレクサンダー・ミュラー氏が高温超電導物質を発見

1987年

ポール・チュー氏(ヒューストン大学)などにより、イットリウム系超電導体の発見

超電導フィーバーが起こる
2000年

秋光純氏(青山学院大学)などにより、二ホウ化マグネシウム超電導体の発見

2006年

米国の実用送電路において、当社の高温超電導ケーブルによる送電を実施

2008年

細野秀雄氏(東京工業大学)などにより、鉄系超電導体発見

発見から100年経った現在も、より高い温度で超電導を起こす物質を探すなど、超電導の研究が盛んに行なわれています!!

BCS理論:
超電導がなぜ起こるのかを説明する理論。超電導状態で電子が対(クーパー対と呼んでいます)になるという対仮説から出発し、これによって抵抗ゼロやマイスナー効果が説明できるようになった。

 

いまからの超電導

ビスマス系超電導線

  超電導が有する「ゼロ抵抗」、「高電流密度」といった特長は、常電導では考えられないような低損失かつ高磁場を実現することが可能であり、電気機器の高性能化に大きな期待が寄せられています。

  超電導状態は、限られた温度、磁場、電流密度でしか起こりませんが、臨界温度(※1)の高い酸化物超電導体の発見と、それを用いた超電導線材の臨界電流密度(※2)が向上し、新たな分野での実用化の可能性が見えつつあります。

※1臨界温度:
超電導体を冷やしていくと、ある温度で突然、電気抵抗がゼロになる。この電気抵抗がゼロに変わる温度を臨界温度と呼ぶ。
※2臨界電流密度:
単位断面積当たりの超電導体に、抵抗ゼロで流すことのできる最大の電流値のこと。

 
■超電導ケーブル

  超電導線は同面積の銅線に比べ、約200倍の電力を流すことができるので、ケーブルにした際、コンパクトにすることが可能です。先だっての震災を受け、再生可能エネルギーの大量導入が注目されています。その再生可能エネルギーの不安定性解消のため、低圧・直流・大容量でもコンパクトで、電圧降下の無い超電導ケーブルの導入が期待されています。同じ直流を利用する都市近郊鉄道へ適用し、徐々に大規模化していく等の計画もあります。

超電導ケーブルと従来ケーブルの比較

■超電導マグネット/コイル

  超電導の特性により、冷却する必要はありますが、小さな電源で大きなパワーを出すことが出来る超電導マグネット/コイルは様々な工業製品として応用されています。

  当社では、超電導コイルを利用した高温超電導実験装置をつくりました。

  超電導誘導磁気浮上の原理を説明する実験装置「SIFO (Superconducting Inductive Floating Object)」や、離れた場所に、非常に強い磁場を発生させることができる「はなれてモータ」は学生向け実験装置として大変好評です。

超電導浮上デモ

このデモ装置は、超電導線をぐるぐる巻きにしてつくったディスク状のコイルを二段積みにして鉄芯を配置、下側のコイルは電源に接続し、上側のコイルはショートさせています。通電すると上側のコイルには逆方向の電流が誘導され、コイル間には反発力(=これが大きなパワーになります)が発生します。

コイルに一度電流を流すと、抵抗が発生せず、電流は永久に流れ続けます。銅線と比較すると2桁以上の高い電流密度で通電もできるため、極めて強力な磁石となり人間を持ち上げることも可能となります。その電源はわずか1.2Vのニッケル水素乾電池1本。低い電圧でこれだけの大電流を流し、人を持ち上げるような力を出すことは常電導では不可能です。構成や規模は異なりますが、リニアモーターカーの浮上走行もこれと同じ原理です。

■超電導の活躍フィールド

  その他にも、船舶用モータや電気自動車、リニアモーターカーなどの輸送分野、その他の新しい産業用途が色々見えつつあります。

  超電導発見100年目の今年を、「高温超電導の本格的な実用化がスタート」の年とできるよう、当社は研究開発にますます力を入れていきます。

・「SIFO」「はなれてモータ」は、住友電気工業(株)の登録商標です。

 
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