サッカーW杯の熱狂の余韻もようやく薄らいできました。それぞれの試合をじっくり観たわけではありませんが、ニュースのダイジェスト映像だけでも、世界最高レベルのプレーの素晴らしさ、国の名誉をかけた選手たちの気迫は十分伝わってきました。

  われらが日本チームは残念ながら予選敗退。初戦に敗れたことで余裕がなくなったのでしょう。この試合の後半、相手のコートジボワールが満を持してエースを投入すると、日本は浮足立ち、あっという間に逆転されました。まさに監督の采配の妙だなと感心しました。

  メンバーの頑張りにもかかわらず、なかなか成果につながらないということは、会社組織でも頻繁にあります。そのようなときに、キーパーソンの人事は組織に刺激を与える有効な手段たり得ます。コートジボワールのように打ち手が見事に当たれば、経営者冥利に尽きることでしょう。しかし投入できるのは、人徳・能力を兼ね備え、周囲の信頼があり、かつ組織の空気を変えることができる人材。となると、見つけるのは容易ではなく、平素からそのような人材を探し、育て、試しておかねばなりません。

  一方、人事がうまく機能し、組織のパフォーマンスが上がっても、組織は常に潜在的な課題、リスクを抱えているものです。経営者は冷静に現状把握に努め、緩みがちな組織に刺激を与え続け、最悪のシナリオへの備えもしておかなければなりません。世界一厚い選手層といわれた「王国」ブラジルの、大会終盤での崩壊は信じられない出来事でしたが、類い稀なる才能を持ったエースに依存し過ぎていたのでしょうか。組織を預かる者への貴重な戒めと言えましょう。