2007年10月16日 10:04
産経新聞「関西人国記」その4
産経新聞大阪本社版夕刊「関西人国記」【4】
住友事業精神 求心力高め会社を一つに
「ちょっと来てくれ。昼飯でも食おうか」
平成16年4月、当時の岡山紀男社長(現会長)にこう声をかけられました。
何だろう…と思いながら社長室に行くと、「私はもう辞めるから、次は君がやってくれ」。
1年前に専務になったばかりです。ちょうど海外出張が入っていたので「少し考えさせてください」と保留しました。
ただ、「逃げるわけにはいかない」という覚悟はありました。不安はありましたが、腹を決めて帰国後、「引き受けさせていただきます」と答えました。
社長に就任した16年6月は、ITバブル崩壊の余韻が色濃く残っていた時期です。光ファイバーなど情報通信事業に注力し過ぎていたわが社は、15年3月期に最終赤字に転落。分社化や大規模な配置換えなど事業の構造改革を急いでいました。
これらは当然必要な改革だったのですが、会社の社員に対する求心力が低下するという“負の結果”ももたらしました。
「このままでは会社がバラバラになる」
社長になった私は、強い危機感を抱きました。もう一度会社が一つにまとまるにはどうすればいいのか。こう考えて打ち出した全社的な目標が「グロリアス エクセレント カンパニー」構想です。
構想では、売上高や利益といった業績の数値目標、そして1つの事業に偏らず、主力5事業でバランス良く稼ぐ「ポートフォリオ」経営を示しました。
それに加え、社員の心のよりどころとして「住友事業精神」を掲げたのが大きな特徴です。
住友事業精神は、住友家の家祖、住友政友が記した商いの心得「文殊院旨意書(しいがき)」に発するもので、400年にわたり脈々と受け継がれてきました。「信用を重んじる」「浮利を追わない」「技術を重視」「人材を尊重する」というのがその要諦です。
この精神を求心力の源にしようと考えました。17年には新たな研修制度「SEIユニバーシティ」をスタートさせ、社員への浸透を図っています。私自身もことあるごとに、自分の言葉で社員に語りかけています。
最近では社員の意識も変わりつつあり、まとまりが出てきたように思います。「住友電工が好きだ」という社員が増えてきたのはうれしいですね。
売上高の拡大、新製品の開発、販売強化など、競争が激しさを増す中で、やるべきことはまだたくさんあります。
陸上でマスターズ選手権に出場したい、社会貢献的な活動もしたい…などと個人的に挑戦したいこともありますが、実現はもう少し先になりそうですね。
(終わり)
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松本正義|
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