2009年09月14日 08:51
「今、日本に問われていること」
松本です。
先日、インタビューを受けて、関西経済連合会が発行する「経済人」の9月号に記事が掲載されました。お願いして、当ブログへの転載許可を頂きましたので、是非見て頂きたいと思います。尚、インタビューは関西経済連合会秘書広報部主任岡田真紀さんに務めて頂きました。
関西経済連合会発行「経済人」9月号 談論風発
「今、日本に問われていること」
日本の各企業はグローバリゼーションを意識した事業展開を行っています。当社も海外での売り上げが全体の約4割を占めています。このような状態が極端に進めば、各社とも本社を日本に置いておく必要性が薄れてきます。私は、当社の本拠地は日本、それも住友の創業以来約400年強恩恵を受けてきた大阪に置き、この地に貢献すべきだと考えていますが、各社の考え方はさまざまです。企業が日本に留まるかどうかは、各経営者の日本に対する思いの強さによるところが大きく、グローバリゼーションが進むと日本の経済地盤がぜい弱になる可能性があるのです。道州制を導入することがぜい弱性を防ぐ一つの政策になると思いますが、付加価値を生む企業が地域を愛し、自らどのように対応していくのかがポイントとなるのではないでしょうか。
では、今後、日本や日本企業はどのような道を取るべきなのでしょうか。ご存じのとおり、日本には天然資源がほとんどなく、最大の武器は、世界に冠たる技術や製品、そしてそれを生み出す人材です。人材は日本最大の資源ともいわれています。人材の質を保ち、常に活性化するための投資は惜しむことなく続けなければなりません。そうして日本のR&Dや生産技術を強化し、海外の工場に横展開していくことが必要です。このサイクルを永続させるためにも、「政治経済や経営を語る前にまずは人間教育」というのが私の持論です。
現代の日本は「金がすべて」という拝金主義の時代を経て、反省期に入る一方、格差が広がっています。''歴史は繰り返す''とはよくいったもので、産業革命華やかなりし英国のビクトリア朝は今日の日本よりもひどい状況だったようです。新興産業家は労働者から搾取することで富を築き、労働者は劣悪な条件での労働を強いられていました。当時の思想家で歴史家のトーマス・カーライルはこれを憂慮し、著書『過去と現在』の中で、営利至上主義の弊害を排し、新しい人間愛に基づいた経営を行う経営者像、"captains of industry"を提唱しました。一言で言うなら「経営騎士道」を説いたのです。真のリーダーとは私事がなく、コミュニティーに尽くすものであり、それこそがエリートだと書いています。近年、コミュニティーを重要なステークホルダーととらえ、そこにどう貢献するかを考える経営者が増えてきましたが、すでにあの時代、同じことをカーライルは考えていたのです。さらに、世界はエリートが導くべきだとも述べています。
昔の日本には江戸時代の藩校や戦前の旧制高等学校、帝国大学など一種のエリート教育のようなものがありました。しかし、''平等であること''に重きを置く今の日本でエリートを育てるのは至難の業です。しかも本来エリートの器でない人間にエリート教育をすると、組織にも本人にも不幸な結果を招いてしまいます。とはいえ、難しいと言ってばかりはいられません。
歴史がわれわれに教訓として伝えていること、それは世の中が根本から変革していく時代には、困難をブレークスルーする迫力と勇気を備え、人とは違った角度から物事を発想できる「気骨ある異端児」が世界や組織をリードすべきだということなのです。時代が急激に変化している今、組織を正しい方向へ導ける人材を育てなければ、乗り切ることはできません。その器量をもつ人材を見極め、真のリーダーとして育てられるか、これこそが今の日本に問われていることではないでしょうか。
社団法人関西経済連合会のWebサイトからもご覧になることができます。
http://www.kankeiren.or.jp/keizaijin/cat113/
松本正義|
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コメント一覧 (1)
1このようなことを明言してくれるトップがいる会社にいる幸せを、純粋に感じます。
時代の捉え方、教育の考え方などは人それぞれで、特に今は変革の時代に入り混乱を生じやすい時を迎えていると思います。その中で、多くの人が心の中で感じているであろう事を、分かりやすい言葉で表していただき、我々が歩むべき方向が見えた気がします。
私も異端児の端くれだと思っていますが、ただの変わり者で終わらずに、真の「気骨のある異端児」に少しでも近づくように、頑張らねばと思いました。
投稿者:出向先の変わり者 | 2009年09月14日 15:00