2009年09月24日 15:17

リーマンショックから1年


 あのリーマンショックから1年が経ちました。日本経済は10%以上のマイナスに落ち込んだGDP成長率も4~6月期は2.3%に回復、また、日経平均株価も最安値の7054円から1万円台に回復しています。しかし、実態はまだまだ安心できる状況にはなく二番底が心配されています。
 内閣府発表の7月度民間設備投資は、前月比9.3%減、1987年統計開始以来の最低水準、減少傾向に歯止めが掛かりません。失業率も、米9.7%、ユーロ9.5%、日5.7%と歴史的な高水準、潜在失業者を含めると更に悪いとみられています。政府の月例経済報告でも、景気基調判断を2カ月連続で据え置き、「失業率が過去最高水準になる」の表現を加え発表されました。雇用情勢の厳しさを背景に個人消費は低迷し、生産水準も極めて低いままで、日本経済の先行きは不透明感が強まっているとの認識です。
 現状の景気の一服感は、落ち込んだ消費を政府による積極的な財政出動が補う状況。今後の焦点は、これがいつ自律的な回復につながるかどうか、それはみんなが先行きに明るい見通しを持てるかどうかにかかっています。鳩山内閣に期待が集まります。


 少し古い話になりますが、藤沢周平の遺作に米沢藩主・上杉治憲(後の鷹山)の藩政改革を描いた「漆の実のみのる国」という小説があります。鷹山は、相次ぐ減封により15万石に減少するも120万石の家臣6千人を維持、財政破たん寸前に藩主就任。直ちに倹約令を発布し財政支出を半減する一方、新田開発や三木(桑・漆・楮)等の商品作物の植樹、米沢織をはじめとする殖産興業を推進、藩校・興譲館を再興し人材育成と民意復興にも注力し瀕死の米沢藩の改革に着手します。「民の父母」たることを信条に改革を推進し、未来を失いつつあった組織に希望を与え、組織の自律的な成長サイクルを導きだすことに取り組みます。一連の改革は簡単には成功せず、何とか体制を立て直そうという奮闘ぶりが描かれています。
 一国の再生にはさすがに時間を要しますが、私心のない姿に次第に藩の人心も変化し、藩財政は立ち直り、次々代には借債を完済、江戸時代屈指の名君と言われる所以かと思います。ご当地米沢では藩中興の祖と親しまれ、また第26代大統領セオドア・ルーズベルトをはじめ海外からも尊敬を集めます。


 時代も変わり、政治経済も大きく変化していますが、ただ今の日本も、本格的な少子高齢化を迎え、財政赤字比率も先進国で最高、先行きに閉塞感を感じる人が多いと思います。
 そういう時こそ、強いリーダーシップの出現が期待されますが、同時に、一人一人が変化を恐れず自らの力で改革を推進する勇気と覚悟を持ち、知恵を出し合えば必ず明るい未来が築けるものと信じています。
 そのためには、国家百年の計たる遠大な視点と目先の利益に流されない不趨浮利の精神とで、根本から取り組む努力が求められていると感じます。

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松本正義Profile

住友電気工業(株)
社長 松本正義


1944年生まれ、兵庫県出身。
1967年住友電工入社。中部支社長、常務取締役、専務取締役を経て2004年6月社長就任。

趣味はジョギング、読書、絵画鑑賞など。中学時代は野球、高校では柔道、大学では陸上競技のやり投げ選手としてインターカレッジ出場経験もあるスポーツマン。

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