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──「恵比寿ガーデンプレイスタワー」は、インテリジェントビルとして有名ですが・・・。
松尾 いやいや、インテリジェントビルといっても10年前の設計ですから、フロアがフリーアクセスになっている程度でしてね。
当時、光が直接ビルに入ってくるなんて、誰も考えていませんでしたから。
──つまり、横系の配線は自由にできる設計になっていたけれど、縦系の幹線には配慮がなかったということですね。
松尾 はい。それが、光回線を引き込みたいという要望が次第にテナントさんから出てくるようになりまして。
当初は、テナントさんが各自でキャリアと交渉して光回線を引いていたのですが、それが続いているうちに、問題が生じてきたのです。
──それで自営光回線の導入が検討されたのですね。どういう問題が生じたのでしょう?
宮田 ひとつは、EPSの使用に偏りが生じたことです。
当ビルは6ブロックに分かれていまして、それぞれにEPSが通っていますが、早い者勝ちみたいな状態になっていましてね。
あるブロックでは、光回線を引きたいというご希望があっても、スペースに余裕がないという事態が生じたのです。
松尾 それと、もうひとつは、保安面に心配が生じたことです。
そのつどキャリアが回線を引く方式ですと、MDF室はEPSに知らない作業員が何度も立ち入ることになりますし、防火区画をそのつど壊して補修しますので、建物の防災上も不安が残ります。
ビルを運営する立場として、そろそろ光バックボーンを自前で持ち、速やかにテナントさんに提供し、ちゃんと管理することが必要な時代になったのではないかと議案にのぼったわけです。
──そしてABFシステムの導入が決まった?
松尾 いえ、最初は1000心分のケーブルを先行配線する案でした。
宮田 経緯を申しますと、自前に光回線を持とうと思っても、私どもは素人ですので、どれだけの容量の回線をどう引けばいいか、分からないわけです。
それで、ネットワークインテグレータ数社に提案をお願いしまして、そのなかで、いちばん優れていたのが住友電工通信エンジニアリング(住友電工システムエンジニアリング事業部の子会社で、設計・施工管理・施工を担当)さんでした。
技術動向に詳しくて、何より私どものビル設備をちゃんと理解してくれて、配線管理とか、メンテナンスのことまで考えていただきました。
これなら一緒にやれると、採用させていただいたのです。
──しかし、その提案は、1000心先行配線だったわけですよね。
どこでABFシステムに転換されたのですか?
宮田 はい。その後、テナントさんに自営光回線についてのアンケートをお願いしまして、その回答から、お望みの回線容量やファイバ種類が、実は多種多様だということが分かったのです。
なのに先行配線にしてしまったら、後で自由がききません。
ABFシステムなら、最初はパイプケーブルを引いておくだけで、テナントさんにニーズが生じたとき、ご希望通りの容量や種類の光ファイバユニットを追加圧送できます。
複数階にわたるテナントさんの場合は、パイプケーブルをLANの管路に活用いただくこともできますしね。
松尾 それと、ABFシステムは、初期投資が1/4程度だったことも大きかったですね。
先行配線だと、実際どれだけ需要があるか分からないうちに、将来を予測して、ドーンとビル全体の配線工事を行わなければなりません。
一方、ABFシステムは縦系のパイプケーブルを引くだけですから、はるかに少ない設備投資で済むわけです。 |