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トップメッセージ 2015年06月号(Vol.453)

社長 松本正義

線路は続く

各地のお客様や、事業所、関係会社を訪ねるときは、秘書が作ってくれたスケジュールに従って分刻みで移動するのが常でありますが、地方への出張の場合、列車乗り継ぎの時間待ちなどもあり、少しゆったりできることもあります。ローカル線の、乗客もまばらな列車の車窓から、水をなみなみと湛えた田んぼの向こうに緑の山々が連なるのを眺めると、子どもの頃に見た風景がまぶたに浮かぶこともあります。

私の故郷の淡路島にも、昔、鉄道が走っていたことをご存知でしょうか。1922年(大正11年)に開業し、私が子どもの頃には洲本市から南淡町(現在の南あわじ市)まで島を斜めに横断しておりました。1~2両の小さな電車が、林を抜け、小川を渡り、畑仕事をする人の脇を走る姿は遠慮がちではありましたが、住民の大切な交通手段として親しまれておりました。子ども心に「この線路の向こうにはどのような世界が広がっているのだろうか」と想像し、初めて電車に乗ってそこへ行った時のワクワクした気持ちは、今でも思い出せます。

このように、私たちの心に何かしら温かいものを届けてくれるのも、鉄道の魅力の一つでしょう。今月号では、そんな鉄道関係で使われている当社の製品をご紹介します。いずれも「縁の下の力持ち」であるのが当社らしいところでありますが、販売を始めてから1世紀が経過したトロリ線、列車の快適な乗り心地を支える空気ばねなど、お客様からも高い評価を頂戴しております。

淡路島の鉄道は、モータリゼーションの波に押されて1966年(昭和41年)にその役目を終えました。今日の日本においても、特に地方鉄道は、他の交通手段との競合、沿線人口の減少など難しい環境にありますが、住民の生活に寄り添い、高齢者から子どもまで誰でも利用できる交通インフラとして頑張ってほしいと思います。

社長 松本 正義


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