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トップメッセージ 2015年10月号(Vol.457)

社長 松本正義

社内の報告会に出席して

先日、社内の報告会で、ある製品の技術課題についての報告を聴きました。社内では「あれは難しい」などと長年囁かれてきた懸案でしたが、報告者は課題を細かな事象に分け、それらを一つ一つ解析し、仮説と検証を繰り返しながら、うまくいかない原因を丹念につぶして、大きな改善につなげてくれました。

どんな小さな事実も見逃すまいと「現物」に目を凝らし、何も見えなくても「見えない何かがあるはずだ」と諦めなかった取り組みは、まさに「執念のなせるわざ」と呼ぶにふさわしいものでした。カイゼンのお手本のようなその話を、具体的にご紹介できないのが誠に残念ですが。

報告を聴いて、当社の亀井正夫会長(当時)に同行してアテネに出張した時のことを思い出しました。会議の合間に訪れたパルテノン神殿の下で、亀井がふと私に言ったのです。「あのな松本、会社は負けたらあかんのや」「人間は困った時にこそ知恵が働くんや」、と。どんな流れでそんな話になったのかは覚えておりませんが、その後、幾度となく苦しい経験を重ねてきた今は、この言葉が意味するところを理解できるようになりました。

報告者に後で話を聞いたところ、「なかなか真因が見えて来ず苦しかったが、どんな事象にも必ず原因があるはずだ、と自分に言い聞かせた」とのことでした。「謎を解明したい」「より良い製品にしたい」という技術者としての本能と矜持が、「しかたがない」と妥協し諦めたくなる気持ちに勝った、とも言えると思います。

社内の手前味噌なエピソードで恐縮ですが、若い社員が強い気持ちで課題に取り組んでくれたことが嬉しく、紹介させていただきました。

社長 松本 正義


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