サプライチェーン

基本的な考え方

当社は「調達は事業活動の基盤を支える業務」と位置づけており、2006年に「調達基本方針」を制定し、お取引先との相互信頼と連携に基づき、公平・公正で地球環境に配慮した調達活動を展開しています。さらに、調達活動におけるCSRへの取り組みを推進するために、住友電工グループの経営理念および企業行動憲章を基に、「住友電工グループCSR調達ガイドライン」を2010年に制定しました。
また近年の社会要請として、企業には人権尊重や気候変動問題などより具体的な活動が求められていることから、2019年に「住友電工グループ人権方針」、2021年に「サプライヤー行動規範(Supplier Code of Conduct)」を制定しました。
これらの方針等は、グループ会社はもちろんのこと主要なお取引先にも周知し、当社グループの調達活動に対するご理解とご協力をお願いしています。

調達基本方針

1. 創造的かつグローバルな企業活動に資する調達活動の推進
お客さまの要望に応え優れた製品・サービスを提供する企業活動こそ私どもの社会貢献の原点であることを踏まえ、その源となる「創造的かつグローバルに展開する企業活動」を継続的に支える調達活動を推進します。

2. 公平・公正な調達活動の推進
合理的なプロセスと判断に基づく公平・公正かつ開かれた取引により、適正な企業活動を支える調達活動を推進します。

3. コンプライアンスに立脚した調達活動の推進
お取引先にも協力を頂き、関連する法令の遵守はもとより社会的な規範も踏まえた調達活動を推進します。

4. お取引先との相互信頼と連携に基づく調達活動の推進
経営理念の実現には、お取引先との強固な信頼関係と連携が不可欠であることから、私どもの理念に賛同頂けるお取引先を重視する調達活動を推進します。

5. 地球環境に配慮した調達活動の推進
地球規模の課題である環境保護に貢献するために、お客さまの環境保護に貢献できる製品提供を支え、更に環境負荷の小さな企業活動実現を目指した調達活動を推進します。

住友電工グループ 人権方針

Supplier Code of Conduct/サプライヤー行動規範

当社グループは、誠実に、かつ法令を遵守し、事業活動を行うことを旨としており、そのようなコミットメントを共有いただけるお取引先とお付き合いさせていただくことを希望しております。本サプライヤー行動規範は、サプライヤー、協力会社、代理店、コンサルタント、販売店等、当社グループに対して物品またはサービスをご提供いただく、全世界のお取引先に適用されます。

住友電工グループCSR調達ガイドライン(抜粋)

住友電工グループは、社会的責任を自覚し事業活動を通じてよりよい社会、環境づくりに貢献したいと考えています。そのためには、私どもに製品・サービスを直接または間接的に提供いただくお取引先様にも私どもと共に、社会的責任に資する活動に取り組んで頂くことが必要です。従いまして、ここに住友電工グループの調達お取引先様へのお願い事項を纏めましたので、積極的な推進をお願いいたします。また、皆様の調達取引先についても、皆様より本項目の取り組み要請をお願いします。

【CSR調達ガイドライン項目】

1. 優れた製品・サービスの提供

2. 技術力の向上

3. 健全な事業経営の推進

4. 地球環境への配慮

5. 法令・社会規範の遵守と公正・適正な企業活動

6. 社会貢献と反社会的勢力の排除

7. 人権・労働安全衛生への配慮(紛争鉱物問題対応含む)

8. 情報開示とコミュニケーション促進

9. 秘密保持と情報セキュリティ

購入品グリーン品質ガイドライン

組織・体制

国内においては、当社事業部門および住友理工(株)、日新電機(株)を含めたグループ関係会社22部門・社の資材調達責任者で構成する連携推進室を資材部内に設置し、調達基本方針の徹底とこれに基づくグループ全体の諸施策・諸活動を推進・実施しています。
海外においては、資材部の中国・ASEAN・米国・欧州の国際調達拠点(IPO:International Procurement Office)が中心となり、所在エリアごとに連携調達を推進しています。

リスク軽減のための取り組み

BCP対応

当社グループでは、製品・サービスの安定供給を目指し、お客さまの生産に影響を与えないよう、大規模災害や感染症拡大などを想定した調達部門BCPの策定と実行に取り組んでいます。
大規模災害のBCPでは供給元の被災を想定し、当該資材の供給停止による生産への影響を極力少なくし早期復旧を可能とするため、調達代替先や代替品の検討、さらに汎用品への切り替えなど、安定調達に向けた取り組みを行っています。また災害発生時には予めシステムに登録した生産地情報等から、被害状況を迅速かつ的確に把握するなど、影響を最小限に留めることに努めています。また、感染症のBCPについては、業務の優先度を取り決め、業務可能な調達部門の人員が大幅に減少した場合でも生産への影響を最小限に留めるように策定しています。

コンプライアンスの徹底

調達業務においてもコンプライアンスが何よりも重要なことは言うまでもありません。当社では、「適正な下請取引実施に関する下請法*遵守」「通関申告と納税に関する関税法遵守」「当社グループの調達に関する内部統制ルールの遵守」の3つを重点事項として、社内各部門および国内・海外関係会社を対象に、研修会・自己点検・巡回指導を毎年実施し、専門知識の習得と遵法意識の徹底に努めています。

*下請法:下請代金支払遅延等防止法

研修・教育

当社では、調達関連業務に携わるすべての従業員向けに、調達関連法規を中心とした「購買・外注コンプライアンス研修」を毎年実施し、コンプライアンス意識定着と向上を図っています。
また、調達部門の担当者向けには『頼られる資材調達担当者の育成』『資材調達倫理・知識・技能の伝承』を目的に、国内外の実務担当者全員を対象とした調達実務遂行上必須となる教育プログラムを策定し実施しています。各コンテンツの部内エキスパートによる体系的な教育と従来からのOJT教育とを組み合わせ、両者の相乗効果による専門知識の習得と遵法意識の向上を図っています。

CSR調達の推進

パートナーズミーティング23

お取引先とのパートナーシップ

調達活動の推進には、お取引先との相互信頼と連携が重要だと考えており、主要なお取引先の代表者の方々と住友電工グループ・パートナーズ・ミーティングを開催しております。また、主な事業所でも地区別パートナーズ・ミーティングを開催し、お取引先との協力関係の構築を図っています。
各パートナーズ・ミーティングにおいては、優れたご提案・ご協力により、当社グループの事業活動に貢献いただいたお取引先の表彰を行うとともに、改めて当社の調達方針やCSRへの取り組みをご説明し、お取引先にCSR調達調査やBCP策定等へのご協力および積極的な推進をお願いしています。

お取引先へのCSR調達調査

CSR調達を推進するためには、お取引先への「調達基本方針」、「人権方針」、「サプライヤー行動規範」、「CSR調達ガイドライン」の周知活動に加えて、CSR調達自己評価表を用いた調査による浸透状況の確認、さらにはお取引先と一体で進める改善活動が必要です。
当社グループでは、これまでに、のべ4,800社を超える「国内調達額90%を満たすお取引先」に対しての調査を実施しました。海外においても、中国、ASEAN地域の当社関係会社のお取引先への調査を開始しており、これまでにのべ約1,000社の調査を実施いたしました。
2022年度には、新たな取り組みとして、2021年度制定の「Supplier Code of Conduct /サプライヤー行動規範」の周知を徹底するため、同行動規範の内容を踏まえ、特に「人権・労働安全衛生への配慮」に関してのCSR調達自己評価表の設問については、人事部で実施している人権デューディリジェンスの取り組みをベースに、より踏み込んだ設問を追加しました。また、「地球環境への配慮」に関しては、温室効果ガスについて削減目標などについての設問を追加する等、最新のトピックを考慮し設問内容を大幅に更新してヒアリングを開始しました。
調査の結果、コンプライアンス等の重要な項目で懸念の認められたお取引先に対しては、面談、訪問等により聞き取り調査を実施し、お取引先と一体で改善活動を進めています。

お取引先へのCSR研修

CSR調達を推進するためには、お取引先にもCSRについて十分理解いただき、一体となって推進することが必要です。そのため、特に当社グループへの売上比率の高い国内のお取引先を対象に研修を行い、CSRについての意識向上を図っています。
お取引先への研修は、対象範囲や研修内容を順次拡大していく予定です。

品質・安全性確保のための連携

(お取引先への品質に関する働きかけ)

当社グループは多岐にわたる事業に携わっており、製品ごと、お客さまごとに要求される品質はそれぞれ異なっています。また、そのような中で原材料、電子部品、機器、ソフトウエアとさらに多岐にわたる購入品を扱っていて、購入品の品質管理は事業の運営上とても重要です。
お客さまの要求品質、当社購入品に期待する品質には色々ありますが、大事なことは共通していると考えています。そこで当社グループでは、2010年9月に「品質管理ガイドライン(※)」を作成して、これに基づく品質保証をお取引先にお願いしています。本ガイドラインはISO9001をベースとして、当社グループの購入品への品質保証の考え方、お取引先への要望事項をまとめたものです。
これからもお取引先と協力して品質・安全性の確保を図ってまいります。

グリーン調達の取り組み

住友電工グループは地球環境に配慮した調達活動の推進のために、「SEI 購入品グリーン品質ガイドライン(※)」に基づき製品への含有禁止物質の非含有化およびその他の含有化学物質の管理強化に取り組んできました。今後はさらに環境経営度を指標に織り込んだお取引先評価・選定制度を展開し、お取引先と一体となって地球環境配慮への取り組みを推進していきます。
また当社は、(株)三井住友銀行様と連携して開発した「ECOファクタリングシステム」を2009年6月より導入しました。これは、当社が設定する基準によりお取引先の環境保全活動の状況を審査し、審査内容によりお取引先が納入物品の債権を期日前に現金化する際の適用金利を優遇するものです。これにより当社はお取引先の環境保全活動を後押ししています。

住友電工グループの責任ある鉱物調達への取り組み

住友電工グループは、調達基本方針に記載の通り、「コンプライアンスに立脚した調達活動の推進」を実施していますが、コンゴ周辺諸国の紛争鉱物問題*や、最悪の形態の児童労働問題が危惧されているコバルト関連ほか、紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)における人権侵害や労働問題など、 経済協力開発機構(OECD)のデュー・デリジェンスガイダンス Annex II記載のリスクをサプライチェーンにおける重大な社会問題の一つと認識しています。調達活動における社会的責任を果たすため、これら不正に関わる鉱物を原材料として使用しない「責任ある鉱物調達」を目指します。そのために必要に応じて、これら不正に関わる鉱物の使用状況についてサプライチェーンを調査し、人権問題などの各種社会問題を引き起こす、あるいは、武装勢力の資金源になっている懸念のある場合には、使用回避に向けた取り組みを実施します。

お取引先には調達基本方針の「お取引先との相互信頼と連携に基づく調達活動の推進」に則って、私どもの考え方をご理解頂き、前記調査へのご協力と、懸念がある鉱物と判明した場合には、当社グループと同様に、使用回避に向けた調達活動に取り組んで頂き、「責任ある鉱物調達」実現のために、ご協力頂けますようお願いしてまいります。

*紛争鉱物問題:コンゴ民主共和国およびその周辺国で産出されたタンタル、タングステン、錫、金またはそれらの派生物で、その取引が深刻な人権侵害を行っている武装勢力の資金源になっている問題