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プレスリリース 2013年

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光ファイバの低損失世界記録を更新、および極低損失光ファイバの出荷開始

2013年3月26日
住友電気工業株式会社

住友電気工業株式会社は、光ファイバの低損失化技術開発により、世界記録を更新する伝送損失0.149dB/km(波長1550nm)を達成しました。またこの技術により、量産品の伝送損失*1典型値を0.16dB/kmから0.154dB/kmに改善した「Z-PLUS Fiber ULL」と、さらにその実効コア断面積を拡大した「Z-PLUS Fiber 130 ULL」の出荷を開始します。

スマートフォンなどの急速な普及に伴うインターネット通信量の増加に対応するため、光通信システムにはさらなる大容量化が求められています。大容量化の有効な手段の一つとして、デジタルコヒーレント通信技術*2の導入が進められていますが、この技術では、伝送損失が小さく、実効コア断面積(光が伝搬する部分の断面積)が大きな光ファイバが必要とされています。

当社は、これまでにも世界に先駆けて、「Z Fiber」、「Z-PLUS Fiber」などの低損失純石英コア光ファイバを開発し、多くの海底光通信網に採用頂いている実績があります。今回、20年以上の実績を有する純石英コア光ファイバの量産技術と、新たに開発した低損失化技術を組み合わせることで、世界記録となる0.149dB/km(波長1550nm)の光ファイバの開発に成功しました。これは当社の持つ世界記録を11年ぶりに更新するものです。

この技術により、現行の「Z-PLUS Fiber」の伝送損失典型値0.16dB/kmを0.154dB/kmまで改善した「Z-PLUS Fiber ULL」と、さらにその実効コア断面積を標準的な光ファイバ対比約1.6倍にまで拡大して高光入力に対応させた「Z-PLUS Fiber 130 ULL」の2つの新製品を2013年4月から出荷を開始します。

「Z-PLUS Fiber ULL」と「Z-PLUS Fiber 130 ULL」は、急速に普及が進む高速大容量デジタルコヒーレント通信技術に最適な光ファイバであり、特に海底光ケーブルシステムでは伝送容量の増大、伝送距離の延長だけではなく、高価な光増幅中継器の台数削減によるシステム総コスト削減にも貢献するものと期待されます。

当社は今後も大容量光伝送技術の発展に貢献すべく、光ファイバのさらなる高性能化開発を継続いたします。

本成果は、米国・アナハイムで開催されたOFC/NFOEC 2013において、ポストデッドラインペーパーとして採録され、同セッションにて報告しました*3

以上

  • Z FiberおよびZ-PLUS Fiberは、住友電気工業株式会社の登録商標です。

【補足資料】

Z-PLUS Fiber 130 ULL及び標準的な光ファイバの伝送損失特性

【注釈】

  1. *1 伝送損失とは、光が光ファイバ内を進む際に、光の一部が散乱や吸収によって減衰する割合であり、低ければ低いほどより遠くに光信号を届けることができます。Z-PLUS Fiberは商用では世界で最も低い伝送損失を持つ光ファイバであり、波長1550nmにおいて0.16dB/kmです。
  2. *2 デジタルコヒーレント技術とは、従来技術のような光の明滅を光信号の送受信に用いるのではなく、光の波としての性質(位相)を活用して光信号の送受信に用いる技術であり、従来技術の10倍以上(一例として10Gbit/秒→100Gbit/秒)の伝送容量を実現できます。
  3. *3 M. Hirano, T. Haruna, Y. Tamura, T. Kawano, S. Ohnuki, Y. Yamamoto, Y. Koyano, and T. Sasaki, “Record Low Loss, Record High FOM Optical Fiber with Manufacturable Process,” PDP.A5.7., OFC/NFOEC 2013, Anaheim, CA, (2013).
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